遺言執行者とは何ですか?
1 遺言執行者とは
遺言書は、法律で定める形式に従って作成することによって、遺言によって行うことができると法律で定められた行為について、法律上の効果が与えられるというものです。
遺言によって行うことができる事項としては、相続分や分割方法の指定・遺産分割の禁止などがあります。
しかし、遺言の効力が発生するのは、遺言者が亡くなった後のことですから、これらの遺言によって行うことができる事項を、遺言者自身が行うことはできません。
そこで、遺言者の最後の意思を実現するために、「遺言の執行」の手続きが法律で定められており、この「遺言の執行」を行う者を、遺言執行者と呼びます。
2 誰が遺言執行者になるのか
遺言執行者の定め方は法律上3つあります。
1つ目は、遺言によって遺言者自身が指定する方法です(民法第1006条1項前段)。
2つ目は、同じく遺言によって遺言者が、遺言執行者の指定を第三者に委託し(民法第1006条1項後段)、委託された第三者が遺言執行者を指定する方法です。
3つ目として、家庭裁判所が、相続人や相続財産の債権者などの利害関係人からの請求によって選任する場合もあります(民法第1010条)。
例えば、遺言によって財産を引き継がせたい人物の中に、遺言の執行についても任せることが適当な人物がいる場合は、遺言書の中でその人物を遺言執行者に指定することも考えられるでしょう。
また、遺言書の作成から弁護士がかかわっているような場合は、遺言執行者についても弁護士を指定しておく、といったことも考えられます。
また、遺言執行者について弁護士を指定するかどうかの判断自体を、財産を引き継ぐ人物のうちのだれかに任せる、という方法も考えられます。
3 遺言執行者が行うこと
遺言執行者は、相続財産につき、管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をすることができます(民法1012条1項)。
他方で、遺言執行者の任務として、相続財産についての目録の作成と相続人への交付、あるいは遺言の執行についての相続人への報告や受領物の引渡義務などがあります。
目録を作成するために、遺言執行者は、遺言者の所有していた不動産の評価や、金融機関に対する遺言者の預貯金の照会など、相続財産の調査を行う必要があります。
4 遺言の執行についてお悩みのときは
遺言の執行については、相続財産の調査など、専門家でなければ難しいものも含まれます。
そして、争いの内容によっては、訴訟の対応について検討する必要がある場合もあります。
遺言の執行についての問題は、専門家の中でも弁護士にご相談されることをおすすめします。
また、遺言執行者に弁護士を指定する場合には、遺言者よりも先に遺言執行者として指定された弁護士が亡くなるといったリスクを回避するため、個人事務所よりも法人を指定するのが望ましいでしょう。
当法人には、東京で相続問題を集中的に取り扱う弁護士がおりますので、いつでもお気軽にご相談ください。